先日「デザイン思考入門」のという研修を受講しました。せっかくなので、ここで書きたいと思います。
デザイン思考の概要
デザイン思考という言葉の定義は、デザインに偏った考え方とみなされがちだが、デザインに軸足を置きつつ・技術・経済性・感性の3要素を考慮したアプローチです。考えるだけでなく、実際に試行錯誤で試す手法です。デザイン思考のポイント等、気になたことを箇条書きにします。(≠グラフィックデザイン、≠設計)
- 昔は何もあまり考えなくても作れば売れる時代だったが、今は、イノベーションを起こさないと売れない時代になり、デザイン思考法が生まれた。
- 何を作ったらわからない中のデザイン(企画)のため、アジャイル開発の考え方と非常に親和性があると言われており、超上流のアジャイルと言えるもの。
- 論理的思考と創造的思考の両方の視点が必要(実際は、思考の独立した人を複数人入れて考えるチームを作る)
- 通常イノベーションの確率は、0.2%くらいだが、デザイン思考でアプローチをするとその確率が20~30%になる。
- プロセス思考の目的は、自社独自の顧客価値を提供するかを考えること
- 成功事例
- 機能がはっきりしていることは従来の開発手法で行う。お客さま自身もどうして良いか明確でないときは、デザイン思考を取り入れる。
デザイン思考の立ち位置
デザイン思考の行う場所は、以前書いた、【RFP】提案依頼書の書き方の手順に当てはめると、次の赤字です。
- 情報化企画
- ★アイディア取得★ ←デザイン思考はココでやると効果的!
- ビジネス化検討
- ITリソースの調達
- 事前調査
- RFPの作成
- 提案依頼書評価および決定
- ベンダーと契約
- システム開発、導入
- 要件定義
- 外部設計
- 運用、保守
RFPの更に上流から適応可能ですが、注意書きとして、デザイン思考は、アイディアを出すときに用いる考え方のフレームワークなので、画面UIの変更やITプロジェクトの問題解決にも用いることは可能
主な流れ
- 共感(Empathize)
インタビューや行動観察を通し、ユーザーに共感し、ニーズを引き出す - 問題定義(Define)
ユーザーを特定し、ニーズからインサイト(洞察)を取得する - 創造(Ideate)
ブレーストーミングなどの手法を用いて、アイディアを多数出し、その中から実現性、有用性、革新性などの観点で優れたアイディアを選択する - プロトタイプ(Prototype)
アイディアを形にし、ユーザーに具体的なイメージを持ってもらう - テスト(Test)
ユーザーに実際にプロトタイプを試してもらい、フィードバックを得る - 有効なデザインが出来た場合の経営判断をする
デザイン思考プロセスの体験
研修を受けたときは、「宅配便の利用をしたときの経験をもとに新しいサービスをデザインする」というテーマについてワークショップを実施しました。ワークショップの手順は次のとおりです。
- 宅配便を利用した時の「利用者視点」と「宅配便の課長視点」で2人で交互にインタビューし合い、項目を付箋に残す(2人)
- インタビューした結果を共感マップにまとめる(個人)
- 着眼点をユーザ、ニーズ、インサイトにまとめる(個人)
- 6人のチームで共有し、代表する着眼点を決める(チーム)・・・ユーザの潜在的ニーズの選定をする(私の時はユーザが「SEの女性」、ニーズが「気持ちは送りたい」、インサイトが「楽しいことをシェアしたい。」というものになりました。)
- 4で決め着眼点のインサイトに対して、それを解決するための手法を付箋に書く(個人)
- 出たアイディアについて、チームでブレインストーミング(チーム)
- 話し合った結果、個人が良いと思ったアイディアを3つ選択し、良いと思った理由を付箋に書く(個人)
- 発想の偏り/パターンを外すために、次のような図を作り、3つのアイディアを配置する(個人)
- 付箋が内部分(空白)を認識し、その部分に良いアイディアがないかを考える(個人)
- 8、9をチームでもう一度実施する(チーム)
- 話し合った結果(10.)に対して、ワクワクするもの(赤いシール)、技術的に可能/実現できそう(青いシール)、革新的なもの/思いもよらないもの/今までにないもの(緑シール)を付箋に1枚につき1つまで貼る(チーム)
- シールが多いもの(赤>青>緑(重み))付箋に、赤い丸を書く。
ここで選ばれたのは、「宅配便を送る時に箱のデザイン、および、宅配員の格好を選べる。宅配便を渡すときに受取人と配達人(?)がスマホで写真をとって送信者のスマホにプッシュ通知」というものが選ばれました。研修といえど、中々面白いアイディアだと思いません?宅配業界の経営者の皆さん、このアイディアを実現してくれないかな?(笑) - プロトタイプを作る(チーム)(ここでは、サービス提供時の劇を作りました。25分という短い中で4コマ漫画作って、小道具作って、配役を決めて、、、幸いなことに誰も嫌がらず、スムーズに作れて、楽しかったです。次の画像は小道具)
- 他のチームに発表し合って、評価をもらう(全員)
まとめ
この研修を受けることにより、デザイン思考の概要を知ることができ、ワークショップを通してデザイン思考を体感することができました。実務にいかすには、お客さまの要求をシステム主導またはシステム設計と一体になって、要件に落とし込む必要があります。日々の仕事を行う中で、お客さまの信頼を得ることで、試験的にデザイン思考プロセスを導入できるようになれることをひとまずの目標にし、その後、新しいサービスや付加価値を提案していけるようになりたいと考えています。
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